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「持続可能な循環経済型未来社会デザイン講座」設立記念シンポジウムを開催しました。

「持続可能な循環経済型未来社会デザイン講座」の設置に伴い、そのキックオフの位置付けとして、10月31日、東京大学 情報学環・福武ホールにて、設立記念シンポジウムを開催しました。当日は、東京大学・三菱電機の関係者に加え、招待企業・研究機関など、多数の方にご来場いただきました。

■本シンポジウムは一般公開しておりませんでしたが、当日のアジェンダおよび資料を公開いたします。

シンポジウム概要

三菱電機ー東京大学 未来デザイン会議 
「持続可能な循環経済型未来社会デザイン講座」設立記念シンポジウム

日時: 2023年10月31日(火)15:00~17:50
場所: 東京大学 情報学環・福武ホール地下2階 福武ラーニングシアター
司会・進行:田中 謙司 准教授

15:00~15:10  開会のご挨拶:三菱電機 開発業務部 松原 公実 部長 / 東京大学 大学院工学系研究科 加藤 泰浩 研究科長

15:10~15:15  社会連携講座 設立主旨:三菱電機 開発本部 染谷 潤 技師長 【講演資料】

15:15~16:05  国の取り組みと、本社会連携講座への期待 
(1)経産省 産業技術環境局 資源循環経済課 田中 将吾 課長   【講演資料】
(2)環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室 兼 循環型社会推進室 近藤 亮太 室長 ※資料非公開

16:05~17:25  プレゼンテーション
(1)CE社会におけるものづくりビジネスに必要なこと
  東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター 梅田 靖 教授【講演資料】
(2)持続可能な循環型経済社会に向けた政策・企業の変化と本社会連携講座への期待
  東京大学 未来ビジョン研究センター 高村 ゆかり 教授【講演資料】
(3)サステナビリティに関する三菱電機の取組みと社会連携講座への期待
  三菱電機 サステナビリティ推進部 上野 麻子 部長 【講演資料】

17:25~17:40  社会連携講座の計画  
  東京大学 大学院工学系研究科 熊田 亜紀子 教授/木下 裕介 准教授/木見田 康治 特任講師【講演資料】

17:40~17:50  閉会のご挨拶 
  三菱電機 開発本部 岡 徹 本部長 / 東京大学 総長特別参与 坂田 一郎 教授

シンポジウム報告

三菱電機松原部長(左)、東京大学加藤先生(右)

はじめに、三菱電機 開発業務部の松原部長 、東京大学 大学院工学系研究科の加藤研究科長から開会のご挨拶をいただいた後、三菱電機 開発本部の染谷技師長が「持続可能な循環経済型未来社会デザイン講座」の設立趣旨について、説明を行いました。

次に、基調講演として、経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課の田中課長、および環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室 兼 循環型社会推進室の近藤室長からご講演をいただきました。

まず、経済産業省の田中課長より、環境問題から経済活動への広がりに目を向けた、サーキュラーエコノミーの取り組みへの期待を語っていただきました。①ルール整備、②政策支援、③産官学連携、の3つのギアを組み合わせていくことで、事業者のみならずステークホルダー、ひいては社会全体でサーキュラーエコノミーをさらに推進していこうという気運の高まりを感じることができました。

田中課長

次に、環境省の近藤室長からは、従来の資源循環から付加価値を生み出すサーキューラーエコノミーへの転換についてお話をいただきました。特に、カーボンニュートラルの実現や経済安全保障の観点等からのサーキュラーエコノミーの位置付けの整理、また、ものづくりの全工程(動脈産業)がすべて国内に残っていること、また先進的な取組を行っている静脈企業がいることが、日本の強みであるとのお話が印象的でした。

近藤室長

基調講演に続き、アカデミアからのご意見として、東京大学 大学院工学系研究科の梅田教授、未来ビジョン研究センターの高村教授からもお話をいただきました。

梅田先生、梅田先生資料

まず、梅田先生からは、CEを環境問題の解決手段ととらえるのではなく、欧州の脱・大量生産大量消費による事業競争力の転換に向けた戦略だとし、われわれも「循環」という言葉にとらわれすぎることなく、価値の創出に努めなければいけないと、熱弁をふるっていただきました。

高村先生

次に、高村先生のご講演では、気候変動政策の産業政策化や、消費者行動の変化にも言及され、幅広い視点でのサーキュラーエコノミーの見方をお示しいただきました。企業として、自社や投資家に対して生み出す価値を見るだけではなく、ステークホルダー、社会に対して生み出す価値とどう結び付けていくかを考えていかなければならないと改めて認識しました。

三菱電機 サステナビリティ推進部の上野部長からは、同社のサステナビリティ実現にむけた理念や戦略等含めた取り組みについてご紹介いただきました。また、これからスタートする社会連携講座について、東京大学の学術的知見と三菱電機の技術力により周囲を巻き込みながら、取り組みを進めていってほしい旨、期待を寄せていただきました。

上野部長
社会連携講座計画

続いて、東京大学の熊田教授、木下准教授、木見田特任講師より本社会連携講座の今後の計画について、ご説明をいただきました。ステークホルダーの経済合理性をいかに確保するかを主要課題として、①日本の製造業の強みを活かしたエコシステムの全体設計と、②シミュレーションによるボトルネックや問題の抽出と、解決策の検討を行うことを、力強くお話いただきました。

最後に、本シンポジウムの締めくくりとして、三菱電機 上席執行役員の岡 開発本部長と、東京大学 総長特別参与の坂田教授より、閉会のご挨拶をいただきました。社会連携講座への期待の声として、サーキュラーエコノミーは一企業だけでは実現できないことから、アンテナを高く張り、エコシステムを構成する多くのステークホルダーの方とWin-Winの関係を築けるように努めること、そして、エビデンスをもった政策提言につなげてほしいとのご意見をいただきました。

三菱電機 岡 本部長(左)、東京大学阪田先生(右)
質疑応答の様子

##フロアからも多くの質疑やコメントが寄せられました。活発な意見交換が行われ、たいへん有意義なシンポジウムとなりました。
##従来の資源循環ではコスト負担が大きく感じられていましたが、コストから、付加価値を生み出すサーキュラーエコノミーに「投資」をするというポジティブな意識へと転換に変わっていくと、消費者個人にとっても、よりサーキュラーエコノミーの意義を感じられるようになるのではないでしょうか。
##東京大学と三菱電機、この二者がタッグを組むことで、サーキュラーエコノミーの好循環につながることが期待されます。

 社会連携講座の成果については、今後定期的に発信してまいります。ご期待ください!