12月22日、毎月定例の勉強会(非公開)を開催し、今回は東京大学大学院技術経営戦略学専攻の浅谷公威特任講師、および大阪大学大学院工学系研究科の原圭史郎教授をお招きしました。
(1)「大規模学術文献の分析による学術研究の遅れと進みの解析」
浅谷先生からは、「大規模学術文献の分析による学術研究の遅れと進みの解析」について、お話しいただきました。
科学の科学と呼ばれる新しいアプローチの学問であり、論文の指標を計量し統計的に分析して、科学のエコシステムとそのメカニズムを理解しようというものです。
前半で、研究論文について成長クラスタの分野ごと、国ごと、年代ごとの分析結果が紹介され、世界の流れと日本の特質が抽出されました。日本は残念ながら30年前は上位集団でしたが、10年ほど前より段々低下している実態が定量的に示されました。
続いて研究トップグループであることをグループの規模の観点での分析、リッチクラブと政策引用との相関など新しい視点の分析結果が紹介されました。
新鮮な内容で印象深いものでしたが、この結果を活かし日本の研究の復権、また「三菱電機ー東京大学 未来デザイン会議」としても今後の取り組み方への活用法検討の必要性を感じました。
(2)「フューチャー・デザイン – 将来世代の視点で考察する持続可能社会とイノベーション -」
次に、原先生より「フューチャー・デザイン – 将来世代の視点で考察する持続可能社会とイノベーション -」について、お話しいただきました。
タイトルの「フューチャー・デザイン」は本「未来デザイン会議」の未来デザインと通ずるものがあり、その実践的な手法、取り組み方は興味深いものでした。
最初に、世代をまたぐ長期的課題に対処できていない現状認識が提示され、その原因分析に基づき、人間の「将来可能性(現在の利得が減るとしても,これが将来世代を豊かにするのなら、この意思決定・行動、さらにはそのように考えることそのものがヒトをより幸福にするという性質)」に着目して、「仮想将来世代」を設定することに大きな特徴を有するフューチャー・デザイン手法が開発されています。
後半では、地方自治体における行政計画、産業界におけるR&D、事業戦略などへの実践結果が紹介され、同じ年代層でも「仮想将来世代」の意識で大きく異なる結果となったことをお話しいただきました。
「未来デザイン会議」においても、こういった視点での考察が検討の厚みを増すと感じました。