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2024.1.26

「東京大学のスタートアップ・エコシステムおよびアントレプレナーシップ教育」、「ウェルビーイング」についての勉強会を開催しました。

1月16日、年明け初回の月例勉強会を開催し、今回は講師として2名の先生方にご登壇いただきました。東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻の各務 茂夫 教授より、 東京大学におけるスタートアップ・エコシステムおよびアントレプレナーシップ教育の取り組みについて、東京大学 公共政策大学院 ウェルビーイング研究ユニット 鈴木 寛 教授からはウェルビーイングと未来社会と製造業について、それぞれお話を伺いました。

(1)『東京大学のスタートアップ・エコシステムおよびアントレプレナーシップ教育の現状と課題』

各務先生からは、東京大学におけるアントレプレナーシップ教育の歩みや取り組みについて、お話いただきました。

イノベーションの推進には、大学における基礎研究だけでなく、スタートアップとの連携が重要であるとし、東大エッジキャピタルや東大TLOなどのスタートアップエコシステムを回していく仕組みを構築するとともに、起業人材育成のためのアントレプレナー道場を通じて、アントレプレナー教育を進めてこられたとのことです。

このアントレプレナー道場の卒業生はどんどん起業し、女性起業家も増えているそうです。アントレプレナーシップ教育は、単に起業を目指すだけではなく、一人一人の人生設計に近いものだという教育者としてのお話が印象的でした。オープンイノベーションが言われて久しいですが、スタートアップ連携を推進していくことの重要性に改めて気づきをいただいたお話でした。

質疑応答では、最近の投資トレンドとして注目を浴びているインパクト投資への考え方を問う質問に対し、社会的なバリュー(非財務価値)を評価する基準として、企業のパーパスとの一致度などを用いるのがよいとのご意見を伺うとともに、経済的価値と社会的価値はトレードオフの関係にあるのではなく、両立する事業アイデアが重要とのご意見が印象的でした。

(2)『ウェルビーイングと未来社会と製造業』

鈴木先生からは、国内のウェルビーイングにまつわる議論の状況を俯瞰的に説明いただきました。先生によれば、物質的な豊かさを図る指標GDPの増加が必ずしも幸せにつながらないとの課題意識から、新たな豊かさ指標の概念として Well-being が謳われてきたとのことです。そして、ウェルビーイングを表す指標として、OECDは Better Life Index を提唱し、内閣府でもOECD指標をもとに「ウェルビーイング・ダッシュボード」が作成されています。

企業においては、お客様のウェルビーイング、従業員のウェルビーイングなどが関連しますが、日本企業では従業員のウェルビーイングについては、特に組織風土、キャリア自律についてはスコアが低いとのことです。個人のモチベーションデザインについて、内発的動機付けが必要であり、企業は人的資本への投資に今まで以上に取り組む必要があると感じました。従業員のウェルビーイングが向上すれば、企業の成長にもつながるものと思われます。

また、鈴木先生からは、ウェルビーイング×製造業にも考察いただき、日本人の強みである「職人魂」や「クラフトマンシップ」を大切にすることが重要ではないかとご意見いただきました。

ウェルビーイングな社会の実現に向けて、三菱電機や東京大学に何ができるか、今回の鈴木先生のご講演を受けて考えていきたいと思います。