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2025.1.31

商品やサービスの価値を向上させる手法についての勉強会を開催しました。

 未来デザイン会議の24年度第10回討議として、1月22日に、東京大学大学院工学系研究科の上田先生、西山先生をお招きしてご講演いただきました。

(1)働く人の理解と支援を目指す心理学・神経科学的アプローチ(上田先生ご講演)

 上田先生には心理学的・神経科学的な計測技術を用いた労働者のワークエンゲージメント向上、およびチームによる協調的創造活動を支えるためのメカニズム解明と技術開発の研究をご紹介いただきました。企業の生産ラインにおける労働者の心理や神経の動きを可視化→モデル化(デジタルツイン化)し、その能力を高めるための分析、施策立案を行う取り組みは大変興味深いものでした。また、工学設計時など、創造的思考には発散的思考と収束的思考があり、脳のモニタリングによりいずれの場合も記憶領域が活性化していることをお示しいただきました。脳の活性化の支援技術についてもご検討されているとのことで、今後のご研究が期待されます。

(2)ユーザー参加型価値創造のマネジメント(西山先生ご講演)

 西山先生にはデンマークのLEGO社によるケースを例に、事業へのユーザー参加の有効性や、ユーザー参加型事業を継続するための要件についてご議論いただきました。ユーザー参加型事業は、売り上げを増やすのに有効な手段であることが広く知られている一方で、ユーザー参加型事業を継続することは困難であるということが定説とされています。この継続性の課題に対して、複数の事例を比較しながら、継続的な企業とユーザーの相互作用を引き出すためには、メカニズムをうまく設計することが重要で、具体的にはユーザーへの報酬制度が事業継続に大きく影響することをお示しいただきました。ユーザー参加に関する研究は、BtoB事業におけるユーザーの関わりを対象にした研究が発端であり、三菱電機の事業にも広く展開の可能性がありそうです。