三菱電機-東京大学未来デザイン会議では、今後起こりうるさまざまな事象がどのような社会の到来をもたらすかを大胆に推測し、これらを克服した「ありたい未来社会の姿」について議論すると共に、それを実現するための道筋を描いています。その一環として、様々な分野でご活躍の有識者の方々をお招きし、ご専門分野に関する最新動向やお考えを学ぶ勉強会(非公開)を開催しています。
25年度第3回目の勉強会を12月24日に開催しました。今回は、東京大学グローバル・コモンズ・センター ダイレクターの石井菜穂子特任教授をお招きし、「Nature as Infrastructure」についてご講演いただきました。
講演では、まずプラネタリー・サイエンスの最新情報として、地球環境の健全性を示すプラネタリーバウンダリーについて解説がありました。9つの指標のうち7つが既に危険領域にあり、地球の安定性と生命維持システムを取り戻すために人類は、エネルギー、都市、生産/消費、食料に関わる4つの経済システムの転換を迫られているとの警鐘が鳴らされました。それを駆動するものとして、ガバナンス・政策、経済・金融制度、社会的調和、データとデジタル技術の4つのアクションレバーが特定されると説明。変革の方法の1つとして、これまで無限で無償とみなされてきた自然に適正な価値付けをし、自然を投資すべきインフラ資産と考えることの重要性、自然・生物多様性を社会経済活動の基盤と見なす概念、COP30の成果、自然資本会計などについて概説された上で、グローバル・コモンズ・センターの活動「ネイチャー・オン・ザ・バランスシート」を紹介。自然資本の価値付けを国や企業の意思決定に組み込み、バランスシートに載せるための国際ルール形成には、投資家、規制当局、格付け機関、政策担当者などの幅広いステークホルダーとの協働が必要であると強調されました。


使い放題と思ってきた地球システムが我慢の限界にきており、人類の経済・社会システム転換は喫緊の課題であること、短期的な成果が見えず継続が難しいシステム転換の活動を続けていくには、評価・制度・規制・投資などの仕組み作りが問われていることなど、未来社会を考える上での重要な示唆をいただけた講演でした。